
プロの理容師にとって欠かせないのが、セニングシザーとブレンディングシザーの正確な使い分けだ。
両シザーは一見似ているが、機能と目的は大きく異なる。
本記事では、両シザーの特性と違いを詳しく解説し、効果的な使用タイミングや頻度、そして川上氏が実際の現場で培った経験から厳選するおすすめのシザーまでご紹介。
理容師としての技術の幅を広げ、施術の質を高めるための必須知識が満載だ。
セニングシザーとブレンディングの違いは
セニングシザーとブレンディングシザーは形状や使用目的に明確な違いがあり、ヘアカットの仕上がりに大きく影響する。
以下に違いをまとめたので参考にしてみてくれ。
種類 | 特徴 |
---|---|
セニングシザー | 主に毛量を減らし、髪に軽さや動きを与えることに特化 |
ブレンディングシザー | 毛先の自然な馴染みやフェードスタイルのグラデーションを作るための設計 |
プロの理容師が使い分ける際は「セニングは毛量調整」「ブレンディングは馴染ませ」という基本原則を念頭に置き、カットスタイルや求める仕上がりに応じて適切なシザーを選択することが大切だ。
理容師にとってセニングシザーとブレンディングの重要性
プロフェッショナルな理容師にとって、セニングシザーとブレンディングシザーはスタイリングの質を決定づける必須のツールだ。両シザーを使い分けることで、毛量が多いお客様の悩みを解消し理想的な軽さと動きを実現できる。
特にフェードカットが主流となっている現代の理容シーンでは、ブレンディングシザーの繊細な仕上げ能力がスタイルの完成度を左右する。
また、両シザーを使いこなすことで、カットの効率性も向上し、施術時間の短縮にもつながる。川上氏が「どちらもクリッパーと同等に重要」と評しているように、両シザーはプロの技術を体現する道具として不可欠だ。
セニングシザーブレンディングの使うタイミング・使用する頻度

両シザーを使うタイミングや頻度は、カットスタイルや髪質により異なる。それぞれの特性を理解して適切に使い分けることで、より洗練された仕上がりを実現できる。
セニングシザー
セニングシザーは髪の毛量を調整し、スタイルに動きと軽さを与えるためのシザーだ。セニングシザーの使用タイミングは、特に毛量が多く重さを感じるお客様のカットで活用される。
毛先に軽さを出したい場合には、毛束の先端から3〜5cmの範囲で使用すると自然な仕上がりになる。また、顔周りや襟足など、動きを変えたい特定の部分へのポイントカットにも効果的だ。
プロの理容師は施術全体の約1/3程度でセニングシザーを使用することで、バランスの取れた仕上がりを実現しており、過度の使用は髪の質感を損なう可能性があるため注意が必要だ。
ブレンディングシザー
ブレンディングシザーは、フェードスタイルの刈り上げ部分のぼかしや全体的な質感調整に不可欠なシザーだ。主に使用するタイミングは、フェードカットのグラデーションゾーンで、髪の長さが異なる部分の境目を自然になじませる場面で力を発揮する。
櫛目が細かく設計されているため、毛先の微調整や全体のバランス調整にも適しており、施術の仕上げ段階でも活躍。
フェードスタイルが主流となっている現代では、ブレンディングシザーの使用頻度は高く、特にショートヘアやメンズスタイルでは施術の必須工程だ。
セニングシザーとブレンディングを使いこなし方
セニングシザーとブレンディングシザーは使用目的と技術的アプローチが異なるため、特性を理解した上で使い分けることがプロフェッショナルな仕上がりへの鍵だ。
両シザーの使いこなしには、まず目的に応じた使い分けが基本だ。毛量調整が必要な場合はセニングシザーを使用し、質感の調整や毛先のなじませが必要な場合はブレンディングシザーを使用する。
また、シザーの梳き率(カット率)も理解しなくてはならず、セニングシザーは20〜30%の梳き率が一般的であるのに対し、ブレンディングシザーは35%前後でより繊細な仕上がりが可能だ。
シザーの入れ方も重要で、適切な角度と動きで使用することで、不自然なスキマを防ぎ、自然な仕上がりを実現できる。
初心者は練習用の毛束で練習を重ね、段階的に技術を向上させることでプロフェッショナルな使いこなしに近づくだろう。
こちらのYoutubeでは、髪を切りながら使い方を紹介している。
川上がおすすめするシザー
川上氏が長年の経験から厳選したセニングシザーとブレンディングシザーは、品質と使い勝手で多くの理容師から高い評価を得ている。
以下に川上がおすすめするシザーをまとめたので参考にしてみてくれ。
シザー | 特徴 |
---|---|
水谷製作所の20%前後セニングシザー | 表裏どちらでも使用できるメガネタイプの設計により、様々なカットシーンで柔軟に対応できる汎用性の高さが魅力。中程度の梳き率で一般的なスタイリングに向いており、初心者から上級者まで幅広い技術レベルの理容師におすすめ。 |
ナルト製作所の10%前後セニングシザー | 低めの梳き率により根元からの繊細な毛量調整が可能で、特に収まりの良いスタイル作りを求める施術に効果を発揮する。 |
川上氏は「適切なシザー選びが技術の90%を決定する」と強調しており、これらのシザーは単なる道具ではなく、理容師の技術を拡張する重要なパートナーとして位置づけられている。
詳しくはこちらの動画でもご紹介しています。
まとめ
セニングシザーとブレンディングシザーは、特性と用途を理解して使い分けることで理容師の技術の幅を広げる重要なツールだ。
セニングシザーは20~30%の梳き率で毛量調整と動きの創出に特化する一方、ブレンディングシザーは35%前後の梳き率で繊細な質感調整とフェードスタイルの自然な馴染みを実現する。
両シザーの力を最大限に発揮するには目的に合わせた選択と適切な角度・動きの習得が不可欠であり、川上氏推奨の水谷製作所やナルト製作所のシザーは、品質と実用性からプロの現場で高く評価されている。
ここで紹介した専門知識を活かすことが、理容師としての技術向上と顧客満足度の向上につながるだろう。
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