過去最大イベント「WBC2024北海道予選」の会場の空気・出場バーバーをレポート


2020年の前回大会から長らく休止していた、世界No.1のバーバーを決めるバトル”WORLD BARBER CLASSIC”(ワールドバーバークラシック)が2025年、ついに復活する。

2025年に行われる決勝大会に先駆け、世界各地と並行し、国内9エリアで予選大会が開催。「アクセスサッポロ」を会場に開催された北海道予選は、エリア予選の中でも最大級の規模である。これは北海道で過去に行われたバーバーイベントと比べても最も大きなものとなった。

この大会規模の拡大は、近年におけるバーバーカルチャーの普及に加え、北海道という土地の中で「バーバー」という文化が独自に成熟している側面が殊に現れていると言えるかもしれない。

北海道予選には、北海道各地のバーバー8名がエントリーし、本線出場への1枠をかけて争った。

この記事では、World Barber Classic(ワールドバーバークラシック)2024の様子について、イベントの概要やバトル出場者の紹介を主にお届けする。

World Barber Classic(ワールドバーバークラシック)2024北海道予選について

まずは、WBC2024北海道予選で行われたステージの内容やルールについて紹介する。

WBC2024北海道予選の内容

WBC2024の北海道予選は以下のタイムテーブルで開催された。

メインのバトルだけでなく、レジェンドバーバーたちによるスペシャルなカットショーや、理美容学校に通う学生らによるバトルも行われた。

  1. オープニングセレモニー
  2. バトル1回戦目
  3. 学生バトル
  4. ブース紹介&抽選会
  5. スペシャルバーバーショー
  6. バトル2回戦目
  7. 表彰式

WBC2024北海道予選のステージ・特別仕様カットクロス

中央にDJブース、4つ角にバーバーチェアが置かれた正方形状のステージが設けられた。観客は好きな位置からバトルを観戦できる仕様となっている。

ステージ入場口には、昨年のTTBB(The Traditional Barber Battle)に引き続き、TOSHIMAYAの協力のもと盆栽が配置された。

精細な匠技が求められる点で共通していることを考えると、まるでバーバーが追求する一つの象徴であるかのようにも見えてくるこの盆栽がステージに特別な空気を与えた。

また、WBC2024北海道予選で使用されたカットクロスは特別仕様。ブルーとライトグリーンのカラーが特徴的な目を引くデザインとなっている。このクロスは実際に数量限定で販売も行われた。

WBC2024北海道予選のルールと審査員

・バトルルール

出場者は、ステージ上で30分のカットパフォーマンスと1分間のプレゼンテーションを行う。

モデルにクロスをまいて髪を濡らした状態からバトルがスタートし、30分経過後にはスタイリングまで完成されカットクロスも外された状態でなければならない。毛の刈り残し屋払い残しなどは全て減点対象となる。

条件は「フェードスタイルを取り入れたメンズスタイル」。モデルは各自用意してくる必要があり、事前のパーマ、カラーなどの制限はない。

審査項目は、バーバー審査員による審査とアーティスト審査員による審査の合計点が基準となる。

バーバー審査員の審査項目(5項目×10点 / 50点満点)

  • フェード
  • ブレンディング
  • トップのスタイリング
  • トータルバランス
  • パーソナリティ

アーティスト審査員の審査項目(3項目×10点 / 30点満点)

  • トータルバランス
  • パーソナリティ
  • アーティスト得点

トータルバランスでは、モデル様の服装も含めた、全体的な見た目の採点、パーソナリティでは選手のルックス、カットスタイル、プレゼンによるアピールを採点。

また、アーティスト得点ではアーティスト様独自の目線で芸術点を採点される。

そしてこれらの審査項目は、以下の3人の名だたるジャッジによって審査された。

【WBC2024北海道予選の審査員】

・岡本寿郎さん@okamototoshiro

・狩野由妃さん@yukikano

・富井誠さん@makototomii

①バトル1回戦目

WBC2024の最初のステージは、メインである予選バトルの1回戦。1回戦目のバトルには、次の4名のバーバーがステージに登った。

渡利勇太 / YUZEN BARBER

苫小牧を拠点とするバーバー「YUZEN BARBER」から、オーナーの渡利勇太さん(@yuzen_barber)が出場。

YUZENはバーバーだけでなく、サロン「DUO」も展開しており、苫小牧エリアではメンズ・レディースにおいてハイクオリティなカットを提供している。

渡利さんは2023年に行われた全国理容競技大会に出場し、第一部門で優勝を果たし内閣総理大臣賞を獲得するほどの実力を持つ。

ステージでは、クラシックなポンパドールスタイルにカットし、細部までこだわったスタイリングを見せた。

伊藤雄介 / THE BARBER LUI’S

札幌のバーバー「THE BARBER LUI’S」の代表・伊藤雄介さん(@the_barber_luis)。

札幌エリアでは有数のバーバーショップで、プロ野球選手も足を運ぶほどカットのクオリティーで高く評価されている。

今大会では唯一2名のバーバーが出場しており、1回戦ではオーナーの伊藤がステージに立った。

ステージでは、サイドをフェードカットでシャープに刈り上げ、トップはフェザーアップのスタイルで仕上げるスタイルのカットをパフォーマンスした。

鈴木琢将 / 理容室Apache

我々アパッシュのクルーからは、東光店店の鈴木琢将(@barber_taku)が出場。

かつてバーバーバトルで全国優勝を飾った経験を持つ実力者である琢将は、今年の3月に初の渡米を経験し、自身のバーバーとしての表現を見つめ直したことから今回の大会への出場を決意。

バトルでは、あえて自分でモデルを用意せずに会場で初めて会う人を選んでステージでカットをするという試みを見せた。

カットスタイルはモデルのカルチャーを大切にし、チョッパーバイクやアメ車に乗るアメリカンカルチャーの中で生きるクールなバックスタイルを表現したと語った。

松田勇気 / 髪男

小樽市から、バーバー「髪男」を営む松田元気さん(@meganebarber_paccho)が出場。

小さい子供から大人までの幅広い世代のメンズが通う、小樽のローカルに根ざしたバーバーとして地域の人に愛されている。

小学生くらいの子供でも気軽に本格的なフェードカットを楽しめることができ、親子で来店しやすいアットホームなバーバーという魅力を持つ。

ステージでは、サイドをフェードに刈り上げトップに柔らかさを持たせたスタイルのカットを披露した。

②学生バトル

最近は、バーバーを志して理美容学校に通う学生も年々増えている傾向にある。バーバーを目指す多くの学生は自身でクリッパーを購入し、スキル向上に励むのだという。

そんな学生たちにとっては、デビュー前から大きな舞台を経験できる貴重な機会となった。

学生バトルの審査員は、北海道内各地で活躍するバーバーたち。アパッシュからは永田吉伸も審査員を務めた。

【学生バトルの審査員】

・村瀬智彦さん@real.barber.murase) / REAL BARBER MURASE

・下飼清史さん@barbershopkiyo) / Barber Shop Kiyo’s

・大水伸也さん@calm_space121) / hair salon calm space

・永田吉伸@nobu_rihatsu) / 理容室APACHE

③スペシャルバーバーショー

WBC2024では、審査員も務めた2名を含めたレジェンドクラスのバーバーらによるカットショーも開催された。

現役バーバーも目を見張るスキルと唯一無二の個性を持ったバーバーによるステージは50分間行われ、全ての来場者の目がステージに注がれた。

このスペシャルバーバーショーのステージにたったのは、以下4名のバーバーだ。

WAHL殿堂の称号を持つ余市町のバーバー「岡本寿郎」

今大会の予選バトル審査員も務めた岡本寿郎さん(@okamototoshiro)は、余市町にあるバーバーショップ「ヘアーメイク オカモト」のオーナーであり、WAHLの殿堂を表す「WAHL of Fame」の称号者でもある。この称号は日本人では6人しか選ばれていないものだ。

50年代のアメリカンカルチャーを取り入れた「ヘアーメイク オカモト」は、1993年の創業から31年続いている。バーバーとしての活動だけでなく、余市町でロックンロールライブやドラックレースなどの開催によってアメリカンカルチャーを常に発信している中心的存在だ。

ステージでは、ロックカルチャーを感じさせるハイクオリティなアメリカンスタイルのカットが披露された。

シドニーを拠点とするWAHL国際講師「狩野由妃」

今大会の予選バトル審査員も務めた、シドニーを拠点に世界的に活躍するバーバーである狩野由妃さん(@yukikano)。WAHLのインターナショナル公認講師を務め、圧倒的に長けたクリッパーの技術は国を超えて多くのバーバーから尊敬されている。

日本の文化を取り入れつつクラッシックなバーバースタイルの技術と美容師の技術を融合させ、性別の違いに囚われない個性に合ったスタイルを得意としている。

このステージでは、ハサミを使わずWAHLのクリッパーのみにツールを限定したカットを披露。日々WAHLを使う北海道のバーバーたちから大きな注目を集めた。

REUZELブランドの日本代表「國本篤」

今大会のMCも務めた國本篤さん(@entrust_kunimoto)は、北陸エリアを代表するバーバーだ。

石川県の金沢からバーバーカルチャーを発信し、世界で60名しかいないREUZELの教育担当から認められた認定講師”REUZEL Scumbassador”に就任している。

ステージでは、REUZELを手がけるオランダのバーバーショップSCHOREMのブレンディングシザーを使ったカットや、REUZELの新ポマードを使用したスタイリングが披露された。

REUZELブランドの魅力が直に感じられるカットは、多くのバーバーの注目を集めた。

アパッシュオーナー川上昌博

スペシャルステージでは、アパッシュオーナー・川上昌博(@masa_apache)もステージに立ちカットを披露した。

BROSHポマードの監修・WAHLインターナショナル公認講師・ミズタニシザーズアンバサダーなど、バーバーに関する多くのブランドにおいて代表的なポジションを務める。

今回のステージでは短いフェードは作らず、モデルがハットを被った時に裾周りの髪が遊びを演出するスタイルを演出。

スタイリングでは、BROSHの新定番ポマードCLAYFIBERポマードに柔らかさを加えるためFIBERポマードを混ぜるというスタイリングを披露。BROSH監修ならではのポマードの質を見極めたスタイリングも多くの目を引いた。

④バトル2回戦目

学生バトルやスペシャルステージを間にはさみ、今イベント最後のステージとして予選バトルの2回戦目が行われた。

以下4名のバーバーが2回戦目に出場し、今イベントのトリとなるステージを飾った。

小柳成吾 / nono SWAN

札幌大通の店舗を置くサロン「no.no SWAN」のスタイリスト小柳成吾さん(@seigo.koyanagi_official)。

no.no SWANは業界でもトップクラスのサロンであり、メンズ・レディース共に高品質のカットやカラーを提供している。

バーバーショップではないが、no.no SWANでメンズ指名率No.1の小柳はフェードカットの技術を取り入れたメンズカットにおいて高い支持を得ているスタイリストだ。

ステージでは、金髪の髪を精巧なフェードのかかったベリーショートのスタイルに仕上げた。

三浦陸哉 / カットハウス

札幌平岸のバーバーショップ「カットハウス」から、三浦陸哉さん(@sunshine_r_m)が出場。

カットハウスは、アメリカンバーバースタイルを得意とした平岸ローカルに根付いたバーバーであり、アメリカンカルチャーへの愛が込められた店舗の雰囲気も特徴だ。

ステージでは、モデルの雰囲気にぴったり合ったポンパドールのスタイルに仕上げた。

鴨野菜摘 / THE BARBER LUI’S

THE BARBER LUI’Sから伊藤と共に出場したのは、今大会唯一の女性バーバー鴨野菜摘さん(@natsu.mi0410)。

女性ウケしにくい側面を持つバーバースタイル・フェードカットに柔らかさを持たせ、バーバースタイルの伝統的なスタイルを保ちながら多くの人に好印象を与えるスタイルを得意としている。

ステージで披露したカットもサイドのフェードからトップにかけて全体的な柔らかさを持たせ、誰が見ても親しみを覚えるようなスタイルに仕上げた。

白崎遼太 / Hair Salon KAZUMI

千歳市にあるバーバー「ヘアサロンカズミ」から、白崎遼太さん (@barber_ryota1058)が出場。千歳エリアで本格的なアメリカンバーバースタイルを楽しめるショップとして多くのメンズから支持を集めている。

披露したスタイルはシンプルなクルーカット。流行に左右されないヘアスタイルの魅力とアメリカンカルチャーへの敬意をステージ上で示した。

結果発表:WBC2024北海道予選を勝ち抜いたのはアパッシュ鈴木琢将

WBC2024北海道予選の最後は、予選バトルを戦った8名のバーナーとそのモデルがステージに登り、結果発表・表彰式が行われた。

そして見事WBC2024北海道予選を勝ち抜いたのは、アパッシュの鈴木琢将だ。

鈴木は自身のInstagramで、このバトルでは【自分がbarberとして何を表現し、どんな人間なのか】がテーマになっていたのだと語った。

今年の3月に渡米して以降、地球規模で考えた時に自分自身は何が好きで何ができるのか?これから何をしていきたいか?について考え続けた。

そして、バーバーという一つの表現者として「カットするモデルのバックボーン・カルチャーを知りライフスタイルに共感すること。それをスタイルとして表現すること」が必要になるのだという結論に至ったのだと綴っていた。

会場の様子多様なカルチャーのブースが出店

アクセス札幌という広い会場の中で開催された今回のイベントには、30近くのブースが出店された。

ステージのバトルやカットショーだけでなく出店ブースの力強い協力があったことで、今

どんなブースが出店していたのかについての詳細は、ぜひ以下の記事から見てみてほしい。

会場外にはクラシックカーの展示も

会場外には、本物のアメリカンカルチャーを間近に体験することができるクラシックカーの展示も行われた。

並んだのは、1930年代〜1940年代のフォード、シボレー、プリマスの希少な車体の数々だ。

普段の生活ではまず目にすることが無いようなクラシックカーの数々が、ステージの合間に多くの来場者が集まった。

アパッシュオーナー・川上が秘蔵していたクラシックカーもWBC2024で解禁された。

川上の愛車は、1948年 Ford Super Deluxe Coup。

川上自身、この車と共に川上が目指すバーバースタイルを表現していく事に決めたと語るほど、想いが込められた車だ。

まとめ

この記事では、WBC2024北海道予選の様子についてお届けした。

今回見事に北海道予選を勝ち抜いた鈴木は、来年決勝の舞台に立ち再びバトルを行う。ぜひこれからの活躍を応援してほしい。

また今年の9月には、別のバーバーバトル「The Traditional Barber Battlle」が今年も開催される。

普段バーバーに通う人もそうでない人も、バーバーという職人がステージに立ち、細部までこだわったカットをする姿を見るライブ感は最高なものだと思う。

今後アパッシュが開催するイベントはインスタで知ることができる。気になる方はぜひフォローよろしく頼む。

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