日本人の髪質は外国人と比べても太く硬いので、バーバースタイルのカットをする上で、ハサミの役割は大きいものだ。
自分なりの理想のスタイルを作るには、それに合った理想のハサミを使うことが重要である。
今回は、東光店店長である鈴木琢将に、実際のカットにおけるハサミに対しての考え方や、最近のハサミ選びのポイント、鈴木が感じるバーバースタイルの変化について聞いた内容を記事にした。
バーバースタイルに興味があるメンズはもちろん、カットの技術をもっと上げたいと考えている理容師の人は、ぜひ参考に読んでくれると嬉しい。
カットにおけるハサミの重要性
毛先のテクスチャーを作るなどの細かい作業ができるのがハサミだ。
理想とするトップの質感を作るには、それに合うハサミが欠かせない。
表面上の長さを揃えることやフェードなど大きな部分はクリッパーでできるが、フェードの接合部やそれより上の箇所はハサミの役割になる。
角を取ったりセニングを入れたり、毛先の硬さ・柔らかさなど、全体的な雰囲気に関わる部分はほとんど全てハサミによる仕事なのだと語る。
普段使っているハサミについて
使用しているハサミのブランドは。ミズタニ、シザーズジャパン、ナルトの3メーカーだ。
長さを整えるミニシザーや、フェードの面を整える刈り上げハサミ、質感を作るセニングなど、ハサミの種類それぞれにも複数本持っていて、作りたいスタイルによって使い分ける。
ハサミの使い分け方
鈴木が現場で実際に使用しているハサミは、現時点で10丁を超える。
ブランドによって鋼材が違うことで、切れ感を変えることができる。
鋼材が硬いハサミは強く切る力があり、しっかりとした質感の毛先を作ることができる。
一方で鋼材が柔らかいハサミは毛先を柔らかく切ることができる。
お客さんは基本的に髪型を選んで来店するが、どういう風に見えるのかは直接ヒアリングしてからカットしていくと言う。
この見える雰囲気・質感づくりには。スタイリストの道具選びの感性に左右される部分があるのだ。
つまり、ハサミを使う本数や使い分けは、切る人の考え方や感性によって決まる。
パーマやカラーのスタイルは、毛先の動きを大事にしたい。明るい髪の毛の場合、しっかりした重めの質感の毛先だと、せっかくの色が活かされない印象になってしまうのだ。
カラーを活かすためには柔らかい切れ感のハサミを使用するなどの使い分けを実践していると語った。
カットにおける自分らしさ
昔は、周りの人から、「鋭く見える」「パキッとしっかり見える」と言われてきたし、そういう特徴のカットをしてきた、と語る。
別に今も大きくは変わらないかもしれないが、昔と今では切り方もハサミも変わっている。
最近は、パキッと見える中に、トップの柔らかい質感が出せるスタイルを目指している。
柔らかい質感を出すために、柔らかい鋼材のナルトシザーを採用した
スタイリングしなくても済む髪型にすることもできるし、後でスタイリングする場合も
ヘアスタイルは時代によって変わる要素であり、常に完璧な正解は出ない、試行錯誤の毎日だと言う。
未完成を、道具や技術を駆使してできるだけ自分の思い描く完成に近づける。
その完成も、自分のいろんな感性が加わって未完成でもある、それに対して道具や切り方を選び、考え方を変えていくこと、永遠のテーマ
カッコよくカットできた、自分もお客さんも満足しているスタイルでも、もっとこういう風にできるんじゃないかと思うことで、その良かったスタイルも未完成になる、常に変化と進化を続けている
バーバースタイルのニーズの変化
フェードやバーバースタイルのトレンドによってお客さんの層も広がり、変化している。
ただ、新しいお客さんだけでなく、既存のお客さんもバーバースタイルに対して変化がほしくなる傾向にあると言う。
初めて来るお客さんは、やってみたい代表的なスタイルを考えて来ることが多いが、今までずっとバーバースタイルをしてきたお客さんは、パーマやカラーを取り入れるなどの、新しいバーバースタイルを求めるのだ。
その変化に対応するためには、バーバーの先端であるアメリカやヨーロッパが今どう移り変わっているのかを常にキャッチすることが重要だと考えている。
そして、ニーズの変化に対応していくためには、技術の向上だけでなく、ハサミをはじめとした道具も変化していくだろう。
鈴木が使うハサミの一部を紹介
実際に鈴木が使用しているハサミの中で、鈴木が重宝しているハサミを一部紹介してもらった。
ミズタニシザーズ DAMA
メインで切るハサミは、ミズタニのDAMAシリーズのハサミだ。
力が強くて、ストレスもかからない。スパッと切れる。
今持っているハサミの中では一番硬く、長時間切っていても髪の毛が逃げていかないタフさがある。
ミズタニシザーズ SCHOREM MASTER ブレンディングセニング
オランダのバーバーショップ「SCHOREM(シュコーラム)」とのコラボシザーであるブレンディングセニング。
刈り上げの接合部を良く馴染ませてくれて、ポマードのノリもよくしてくれる。
セニングは手首で動かして切るハサミだ。
抜けが悪いセニングは切っていると引っかかってしまうし、操作性も悪くなる。
ただのデザインのピンクではないこのコーティングは髪の抜け感がすごく良く、重宝しているハサミのひとつだ。
まとめ
今回は、東光店店長である鈴木琢将に、バーバースタイルのカットにおけるハサミに対する考え方について語ってもらった。
アパッシュでは、卸価格でミズタニシザーズを販売している。
新しいハサミとの出会いを探していたり、スタッフに質の良いハサミを支給したいと考えるバーバーやサロンの方は、アパッシュの卸取引のページを見てくれると嬉しい。