バーバーカットの技術を競い合う熱いバトルが年1回開催されている。
それが「トラディショナルバーバーバトル」だ。
アメリカ・カリフォルニア州のバーバーショップ「HAWLEYWOOD’S(ハリウッズ)」が展開している整髪料ブランド「LAYRITE(レイライト)」が主催し、世界のバーバーから評価を受けられる。
北海道から沖縄まで、全国6エリアで予選が行われ、各エリアで予選を勝ち抜いた上位2名が東京に集結し、チャンピオンの座を狙う。
バーバーバトルに出場するには、各地区の12人の予選メンバーに選ばれなければいけない。エントリーしても参加権限をもらえるには狭き門の大会。
そんな大会に見事優勝に輝いた、バーバーの鈴木琢将を紹介しよう。
この記事は、鈴木と一緒に働くアパッシュのスタッフが、大会までの彼の道のり、身近で感じた彼の追求心とバーバーへの情熱を伝える。
「これからバーバーの世界に飛び込みたい」「バーバーの技術を今以上に極めたい」「バーバーの世界に興味がある」という人はぜひ読んでみて欲しい。
バーバーバトル1位をとるためにしたこと
鈴木はバーバーバトルに過去3回出場している。
バーバーバトルに初めて出場したのは、理容師になって2年目のときだった。
アパッシュの代表・川上から「こういったバトルがあるからSNSの配信しといた方がいいよ」とアドバイスを受け、スタイルの配信を積極的にしていたという。
バーバーバトルの大会に出場するには、エントリーしても審査に通らなければ出場できない。
その審査基準が「配信力」「技術力」。
バーバースタイルを世界に広められる人として配信力をみられ、配信された写真で技術力を評価された者のみが大会に出場できる。
エントリーしたからといって大会に出場できる大会ではないのだ。
過去に2回出場し、予選で負けた時、鈴木は「どうやったら上手くなれるのか?」を徹底的に追求したと語る。
もっと上手くなるために、旭川の働いているお店が休みの時、週1回東京へ赴き、フリーマンズコーディングクラブというニューヨーク発祥の店舗を年借りしお客さんをカットしていたという。
東京で学べるものが何かあるのではと、大会までほぼ休みのない生活をしていた。
当時は、SNSも盛んではなく、情報が安易に手に入る時代ではなかったが、自分よりカットが上手な人を探し、直接メッセージしアドバイスをもらったりもした。
とにかく「なんで負けたのかを毎日研究していた」という。
挑戦すればするほど「あの人の方が上手のでは」といつも不安になったが、3回目の出場ではすでに優勝する自信しかなかったという。
その自信はシンプル。「努力したから」だ。そして実際に、鈴木は見事に優勝を果たした。
うちにくるお客さんは他の店舗にいかない
現在は、北海道旭川市にある「Apache(アパッシュ)」で働く鈴木。
この店には「本物のバーバー」があると鈴木は語る。
カット、スタイリング、整髪料の選び方、道具の使い方、カウンセリングが「お客さんにとって何が一番かを」を常に追求している店。それが「Apache(アパッシュ)」だ。
師であるアパッシュ代表・川上から学ぶものも大きい。
川上はアジアで唯一 Wahlクリッパーのエデュケーターとして教える資格を持っている人物だ。
実際に肌で感じて学んだ人から教わるのと、ただ道具を使っている人から教わるのは全然違う。ここでは本物のバーバーが育つことができる。
「本物の道具と師がいる環境の中で技術があるのは当たり前のこと」鈴木は話すが、そこからさらに一歩踏み込んで、彼はバーバーとしてのこだわりを持っている。
「お客さんとは、常に「ライフスタイルでどんな悩みがあるのか?」という視点で関わっている。バーバーとして、髪を切るだけではなく、お客さんを1対1で人間として関わりたい。整髪料も何種類も揃えているが、特徴を捉えてこの人に合うものを使っていきたい」
「こだわらないことをしない」と鈴木は語った。
アパッシュは、ブロッシュポマードの開発、代表川上の発信力でようやくバーバーが世の中に認知されてきた。
これからは、このアパッシュの伝統を引継ぎ、さらに、みんなで何か一つのことをやり遂げ、アパッシュをどんどん大きくしていきたいと今後の野望についても語ってくれた。
鈴木のバーバーへの追求心はバーバーバトル1位になって止まることを知らない。
彼がどんなバーバーの道を極めていくのか、今後も楽しみだ。